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ジャックがシベリア収容所での体験話をしてくれた。
出征から捕虜になった経緯に始まって、バイカル湖で食料用の魚を釣ったこと、暖房用に松や杉を伐採したこと、めそめそ泣いていた将校の涙が凍っていたこと、犯罪者から習った品の悪いロシア語等々、一時間中に少なくともこれらの話題が十回はループしたはず。

「親戚を頼って上京したものの召集令状が来たので青森に行き、そこから万世へ出征したんだよー。」

ま、万世すか?
満州じゃなくて?
それじゃハンバーグのチェーン店ですよ。
青森からハンバーグ屋に出征するジャックの姿を想像したが、笑っている場合ではない。

「仲間の半分が死んじゃったんだね。じゃあさ、おじいちゃんが生き残った秘訣ってなに?」

「なんだと思う?」

「わかんないよ。」

「それはね、働くことだよ、真面目に一生懸命働いたからだよ。」

病人はそれぞれ1グラム、2グラム、3グラムというグループに分けられた。3グラムは重症の病人で別の場所に送られていった。2グラムは労働の出来ない病人で医療施設のようなところへ収容された。1グラムはまだ軽い病人で、同じ収容所にいた。
というような話も聞いたが、ジャックの一人息子である我が亭主も今までこんな話は聞いたことなかったそうだ。

「ところで貴女はどこからいらっしゃったの?」

急に居住まい正してジャックがワタシに尋ねる。

「貴方の息子さんの嫁だよ~。」

「あ、なぁ~んだ、そうだったの!暫く来ないんだもの、わかんないよ。」

随分認知症が進行したなぁと思う。
こんな時だから昔の話が聞けるんだろう、ジャックの戦後はまだ終わらない。
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